ここでは アクセントではリズムを決定できず、実際には拍や目盛りがリズムを決めている という事実を、演奏を通じて確かめていきましょう。
まず、次のようなアクセントの並びがあるとします。

このアクセント配置を演奏すると、多くの人は自然に 3連符 として感じるはずです。
では、なぜ3連符として感じられるのでしょうか。
その仕組みをリズムスケッチで示したものがこれです。

図を見ると、この並びは「3つごとにアクセントがくるフレーズ」として理解できます。しかし、ここで重要なのは アクセントの並び自体が3連符を決めているわけではない という点です。
■ アクセントは「リズムの種類」を決めていない
同じアクセント配置でも、必ず3連符になるとは限りません。
実際には、下段の図のように 16分音符を3つに分割したリズム(16分の3つ割り) として演奏される場合もあります。

つまり、
- アクセントは単なる“方向づけ”に過ぎない
- リズムそのものを決めているのは、精神的に置かれた拍や目盛りである
ということです。
■ 実際にどう確認できるのか?
動画では、
3連符 と 16分音符の3つ割り の「音と音の間隔」を完全に一致させた状態で、両者を切り替えて演奏しています。
もしアクセントがリズムを決定しているのなら、両者は同じリズムに聞こえるはずです。
しかし実際には、感じられるリズムはまったく異なる はずです。
その違いこそが リズムを決めているのはアクセントではなく拍や目盛りである という証拠です。
■ なぜこの練習が重要なのか?
3連符と16分3つ割りを自在に切り替えられるようになると、
- 拍・目盛りの「精神的な配置」がリズムを決めている
- アクセントはリズムの種類を決めておらず、あくまでフレーズの表情を変えるだけ
ということが感覚的に腑に落ちるようになります。

リズムの理解をより深くしたい方には、ぜひこの切り替え練習を身につけていただきたいと思います。
※補足:拍(beat)は音に依存せず精神的に等間隔に感じられる時間意識であり、
目盛り(pulse)は拍とは独立して“置かれる”時間的な物差しです。
リズムは音符そのものではなく、これらの精神的な基準によって決定されます。
