音はまったく同じでも、異なるリズムになる

ここでは、まったく同じメトロノームの音が、異なるリズムとして聞こえる という事実を確認し、リズムの根本理解を深めていきます。

まず、メトロノームの音を鳴らして、難しく考えずに素直に聞いてみてください。

この動画の場合、多くの人は 8分音符 として聞こえてくるはずです。

これをリズムスケッチで表すと、次のようになります。

次に、同じメトロノームの音を、まったく異なるリズムとして聞き取る 体験をしてみましょう。

たとえば、メトロノームの音を 8分音符の3つ割り として認識してみます。

これをリズムスケッチで表すと、次のような形になります。

もし最初はうまく感じ取れなくても、頭で理解しようとせず、まずは動画で感覚的に体験してください。

■ リズムスケッチで何がわかるのか?

この2つのリズムの違いは、リズムスケッチを使うと非常に明確になります。

ここではそのリズムスケッチそのものを説明します。

リズムスケッチは、リズムの三要素である

  • 拍(beat)
  • 目盛り(pulse)
  • 音(sound)

を視覚的に示すツールです。

私たちがリズムを感じ取るとき、それを決定しているのは 無意識に置かれた拍や目盛り であり、音そのものではない という点をつかむことが重要です。

リズムスケッチは、この仕組みを理解するのに大変有効です。

  • 拍 → ⬜︎ 
  • 目盛り → 点
  • 音 → ● または アクセント

多くの人は「音だけがリズムである」と思い込みがちですが、スケッチを見ると 音以外に拍と目盛りという精神的な基準が存在している ことがわかります。

■ 拍はどのように決まるのか?

拍は「ここからここまでが1拍だ」と 自分が感じることによって決まる もので、

音はそのガイドにすぎません。

さらに拍には 長さ(幅) があります。

拍を点のように扱ってしまうと「裏の意識」が曖昧になり、誤解につながるので注意が必要です。

同じメトロノームの音が “A のリズム” から “B のリズム” に変化して聞こえたはずです。

これはつまり、拍が音によって決定されていない ことを示しています。

拍は音ではなく、

  • 意識
  • 認識
  • 感覚

といった 精神的作用 によって決まっているということです。

■ 目盛りについて

目盛りもまた、音によって決まっているわけではありません。

そして目盛りは、拍がなくても 単独で存在できる ものです。

「目盛りは拍の中にある」と思ってしまうと、拍が消えた瞬間に目盛りも消えてしまうため、これも誤解を招きます。

目盛りは、独立して精神的に“置かれる”基準です。

■ リズムとは何か?

結局、リズムとは

拍 × 目盛り × 音

がミックスされて感じられる 意識上の構造 です。

音だけではリズムにはならず、

拍や目盛りという「精神的な時間配置」がつくられることで初めてリズムが成立します。

■ A のリズムから B のリズムへ移行する方法

ここでは、A のリズム(8分音符)から

B のリズム(8分の3つ割り)へ移行する方法を説明します。

  1. まず A のリズムを聞き、そこから目盛りを取り出します。
    音ではなく、時間の区切りそのものを意識します。
  2. その目盛りを軸にして、移行先の拍が「3つで1つ」になるように設定します。
    つまり、3つ目の目盛りが拍の先頭になるように意識を切り替えます。
  3. 拍の長さが目盛り3つ分として安定すると、B のリズムに聞こえる ようになります。

この操作ができれば、同じメトロノームの音が、まったく異なるリズムに聞こえるようになります。